ジオスノーウォールは、耐衝撃性に優れた繊維補強材ジオグリッドを使用した補強盛り土を堤体とし、道路や民家などを雪崩災害から防護または被害の恐れのないところまで雪崩を誘導するための補強土擁壁です。雪崩を受ける面には、抵抗体に荷重が均一に作用するように鉄筋コンクリート製の受撃版を設置してあります。抵抗体は衝撃対応ジオグリッドを敷設した補強土擁壁となっており、抵抗体の土留めとして壁型ユニット(エキスパンドメタル)を使用しています。

これまではコンクリート製の防護擁壁が多く採用されてきましたが、対象とする荷重が大きいため基礎工が大規模となることが多く、特に支持地盤の悪いところでは大規模な杭基礎が必要となりました。これに比較してジオスノーウォールは、堤体が盛土であることから非常にフレキシブルな構造であり、不慮の地盤の沈下にも対応できます。

このことから、コンクリート擁壁のように、擁壁背面から衝撃力が作用しても設置地盤に対しては偏心力が作用しないため、大きな基礎工を必要としません。
また、景観については堤体表面に植生を行うことでき、環境にも十分に配慮できます。
<設置例>
<ジオスノーウォールの構造>
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<標準断面図>
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ジオスノーウォールは、受撃版、抵抗体によって構成された堤防型の複合構造物で、側面(受撃版)で雪崩を受け止めるものであり、衝撃吸収性に富む構造物です。 雪崩の衝撃エネルギーは以下のメカニズムで吸収され、雪崩を制止させると考えます。
受撃版に衝突した雪崩は、受撃版を介して伝播された衝撃力により、内部が断面方向上方に一定角度で破壊線を与えるように変形すると考えられるので、衝撃力に抵抗し、雪崩を完全に制止させます。
極度釣り合い計算概念図
抵抗体すべり面釣り合い概念図
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